大阪市西区に所在する多目的ドーム球場「京セラドーム大阪」の観客席・手摺部の塗り替え工事に、大日本塗料の皮脂軟化対策水性塗料「アクアマリンタックレス」が採用されました。
株式会社大阪シティドームが運営する京セラドーム大阪は、1997(平成9)年3月の開場以降、プロ野球や各種スポーツ競技の開催のほか、コンサートや展示会など多様な用途に利用されています。今回は、塗り替え工事の施主である大阪シティドームの担当者様と、実際に施工された塗装職人様にお話を伺ってまいりました。
目次
ドーム内手摺部の塗替えによる皮脂軟化対策
京セラドーム大阪では、長年の使用により観客席に設けられた手摺りの塗装が一部剥がれ落ち、修繕時期に差し掛かっていました。今回、多くの人の手が触れるドーム球場内の手摺りを塗替えるにあたり、必要とされた要件は下記の5つです。
- 塗膜の皮脂軟化※1対策が出来ること
- ドーム内での塗替えのため、低臭気であること
- 作業の大半が夜間に行われるため、速乾性・塗装感覚・養生時間の制約があること
- 野球観戦やコンサートといったイベントによりメガホン等で手摺を叩くことがあるため、一定の塗膜強度もあること
- 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、アルコール消毒への耐性があること
「アクアマリンタックレス」は、最大の特徴である“耐皮脂軟化性”を有し、人の手がよく触れる手摺への塗装には最適であるほか、水性塗料であること、粘着性(タック)のない塗膜を形成すること、耐エタノール性も有することなどから、上記の課題に全てに対応できる点が評価され、採用に至りました。
※1 塗膜の皮脂軟化…建築塗料分野に多く用いられる水性エマルション塗料は、通常、手すりやドアノブといった人が触れる機会の多い部分では、人体から分泌される皮脂が塗膜に付着することで、塗膜の軟化=皮脂軟化が起こります。塗膜の軟化により、皮脂を含む汚れが付着・浸透し易くなり、黒ずみなどの汚れや塗膜の摩耗・はく離の発生原因となります。
塗装現場の皆さまからの声
塗装作業中
塗装職人様からは、「水性塗料なのに塗りやすく作業性もよい」と、強溶剤系塗料に比べて劣るとされる水性塗料の作業性についても、高評価を頂きました。
施主の株式会社大阪シティドームの担当者様からは、「ドーム内での塗装なのに臭気が全く気にならない。今現在塗装作業をしているとは思えない」と、懸念されていた臭気面も問題はありませんでした。
塗装終了後
塗装職人様からは、「ここまでの乾燥性があって、かつ塗りやすいことが良い」、施主様からは、「もう塗装終了したのですか」と乾燥性に対して驚く声もありました。また、塗膜のタック感も少なく高評価でした。
乾燥性については、塗装作業時の気温13℃の環境で、従来のSOP(合成樹脂調合ペイント)では実現できなかった 1day3coat が可能であり、塗装工事の効率化が期待できます。実際に、今回の塗装工事においても、上塗塗装終了後約1時間で、手摺を強く握っても塗料が手に付着せず、剥離等の問題も起こりませんでした。
翌日塗膜を確認したところ、塗装当日よりもさらに塗膜のタック感がなくなっており、施主様から塗装翌日のドーム開放も十分可能と判断していただきました。
さらに、約1か月後に塗膜調査を行ったところ、鉛筆硬度は2Hと非常に硬い塗膜結果を得られました。新型コロナウイルス禍の現在、コンサートなどのイベント開催や、試合前後に感染防止対策としてアルコール消毒しても大丈夫?とご質問を受けましたが、耐エタノール試験にも問題なく、今後の衛生管理も行い易いと好評を頂きました。
皮脂軟化対策の塗装仕様/製品概要
オール水性仕様
下塗り 水性二液オールインワンシーラー「マイティー万能水性シーラー」
上塗り リベット構造型水性硬質塗料「アクアマリンタックレス」(2回塗り)
アクアマリンタックレスの製品概要
当社塗料「アクアマリンタックレス」は、塗膜の皮脂軟化を抑制することを目的に開発した製品であり、水性エマルション樹脂のガラス転移点、溶解性パラメーター、樹脂構造を最適化することにより、強溶剤二液ウレタン塗料と同等以上の塗膜硬度と耐皮脂軟化性を有するほか、下記の特徴を備えています。
- 皮脂による塗膜軟化や汚れに強い
- 粘着性(タック)のない塗膜を形成する
- 耐水性に優れる
- 水性で環境に優しい(放散等級F☆☆☆☆)
- 作業性に優れ、仕上がり性が良好
- 強溶剤ポリウレタン樹脂塗料並みの塗膜硬度を有する
試験項目 | 条件 | 製品性能 |
---|---|---|
耐水性※2 | 脱イオン水に96時間浸漬し、異常がないこと | 144時間異常なし |
耐アルカリ性※2 | 飽和消石灰水溶液に7日間浸漬し異常が無いこと | 10日間異常なし |
耐洗浄性※2 | 1000往復で異常が無いこと | 1500往復異常なし |
耐湿潤冷熱繰り返し性※2 | 浸漬18時間→-20℃ 3時間→50℃ 3時間 を7サイクル実施し異常が無いこと | 10サイクル異常なし |
促進耐候性※2 | キセノンランプ法で480時間照射し、光沢保持率が60%以上であること | 800時間異常なし |
耐皮脂軟化性 | 比較試験において溶剤系塗料と同等以上であること | 強溶剤二液ウレタン同等 |
<京セラドーム大阪>
https://www.kyoceradome-osaka.jp/
名 称 :京セラドーム大阪(KYOCERA DOME OSAKA)
オープン:平成9年(1997年)3月1日
所在地 :大阪市西区千代崎3丁目中2番1号
事業主 :株式会社 大阪シティドーム
主な用途:プロ野球、各種スポーツ競技、コンサート、展示会、見本市、集会など
建設概要:(構造)地上9階・地下1階、高さ83m(建築面積)33,800㎡(延床面積)156,400㎡
<株式会社 大阪シティドーム>
所在地 :大阪市西区千代崎3丁目中2番1号
設 立 :1992(平成4)年1月
資本金 :2億5千万円
事業概要:多目的ホールの経営及び管理、スポーツ等各種イベントの企画・制作および運営、飲食店・物販店の経営、貸店舗の経営・管理、駐車場経営及び管理